不透明な10年後を見据えて、それでも投資する人が手に入れるもの
著者「岩崎日出俊」さんの作品は初めて読んだのですが、ほどよくまとまっていて、しかも岩崎さん自身の主張も入っていて、良い本でした。
日銀のマイナス金利導入など、最近の話題も取り込まれています。
第1章では、「10年前に、日米それぞれの株を買っていたら、現在何倍になっていたか」という考察がありました。まずアメリカのほうで、アマゾンは14倍、アップルは13倍、グーグルで4倍、フェイスブックが3倍となってます。一方の日本のほうは、トヨタが1.3倍、ユニクロが6倍、東芝は54%安、東電は73%安、日本航空だと100%安という結果でした。選出されている企業に、やや意図を感じますが、市場全体の指数で見てもアメリカのほうが成績が良いです。
人々の暮らしを根底から変えるようなイノベーションを生み出した企業が、その国にどれだけあるかがポイントのようです。
スマホ、検索サイト、オンラインショッピング、SNS、オフィスソフト、動画閲覧、・・・と、今の暮らしでは当たり前となってますが、10年前にはこの状況は想像できなかったですもんね。
日本には「失敗を歓迎する風土がない」、イコール「皆がリスクを取りたがらない」ため、イノベーションが起きにくい状況になっているとのことでした。
入試なり、就活なり、出世なり、「失敗したことを跳躍台として、ストレートにゆくよりもより高く、より強く立ち上がることができたら素晴らしい」という言葉が心に残りました。
第3章では、「先端技術を持つ企業への投資」を勧めています。そういった企業を見極めることに自信がないなら、「グーグル、アマゾン、アップル、フェイスブックに投資しておく」といった方法を紹介していました。
ただし、「イノベーションというのは、大企業では起きていない」とも言っています。たとえグーグルやアップルであっても、「大企業病」にかかる可能性はあり、そうなった場合は株価が低迷することになるでしょう。
第4章では、ディズニー株や、バークシャー株を買って、数億円の資産を築いた人の事例が紹介されていました。
第5章から、株式投資により踏み込んだ内容になってきます。
まず最初に、株式投資の2つのシンプルな鉄則が書かれています。
・「量的緩和」すれば「株高」になる
・「GDPが上昇」すれば「株高」になる
20年後、日本の人口が1,300万人減る一方で、世界の人口は15億人増えると予想されています。アメリカに関しては、先進国ながら今後も人口が増え、3億6,700万人増えると言われています。
結果、日本の市場は縮小し、世界の市場が拡大していくという流れは避けられないとのことで、最もハズレがない投資として、「アメリカへの投資、具体的には、ダウ平均株価に連動するETFへの投資」を勧めています。
また著者は、新興国への投資には消極的な見解でした。理由は、「新興国の成長を取り込む/利益にするのは、結局、先進国のグローバル企業になる」という考えのためです。
最終章で、「成功の秘密は何か?」という質問に対して、バフェットが「少なくとも1日に500ページの本や書類を読むことだ。これは誰にでもできることだが、ポイントは、これをずっと続けることにある」と答えたというエピソードが印象的でした。