働きたくないけどお金は欲しい

タイトルがストレートで、電車の中で読むのがちょっと恥ずかしい感じの本です。

働きたくないけどお金は欲しい


ただ、内容は意外にまじめで、しっかりした本でした。

第1章で、なるほどなと思ったのは、「働く」ことへの考え方です。
「働く」本質は、「相手を喜ばせること」であって、
・相手に与える喜びを多くする
・より多くの人に喜びを与える
の2点から、対価を得るというものです。
「どれだけ一生懸命、汗水垂らしながら不眠不休で働こうが、その行為自体に価値はない」という表現には考えさせられるものがありました。

ここから、直接働かなくても誰かが喜んでくれる仕組みや商品・サービスを作る、これによって「不労所得を得る」といった話に展開します。
不労所得の例としては、
株などの投資収入、不動産の家賃収入、特許の権利収入、本の印税収入、ブログやメルマガの広告収入、などなどを挙げています。

特に「投資」に関しては、「誰かが喜んでくれる価値を生み出す」行為を、「自分自身で行うのではなく、有能な他人に便乗する仕組み」と説明しています。

続けて第2章では、他の本でもよく目にする「お金持ちの方程式」の紹介から始まります。
 資産形成 = 収入 ー 支出 + 資産 × 利回り
そして「支出」の種類として、浪費、消費、投資の3つを挙げています。

理想的なお金のフローは、次の通りです。
 1.投資で資産の利回りを上げる
 2.労働所得を減らし、不労所得やセミ不労所得を増やす
 3.複数の収入を持ち、かつ投資でも安定して利益が上げられている状態にする
セミ不労所得とは、働く時間を限りなく少なくして収入を得ることです。
一例として、広告収入のあるウェブサイトを運営する、アフィリエイター、転売ビジネスなどが挙げられていました。

第3章では、お金と価値に関する内容となっています。
面白いなと思ったのは、イギリスのロンドン大学で「人間関係から得られる幸福度と不幸度をお金に換算するといくらになるのか」という研究がされているという話。
結婚がもたらす幸福度は 614万円に相当していて、一方で、離婚がもたらす不幸度は —199万円に相当するとの結果らしいです。

第4章からは、いよいよ投資に関する内容です。
「人の感情と株価」という内容が興味深くて、次のようなものでした。
・人は周囲に合わせて行動する
・人は苦労して手に入れたものに価値を感じる
・人は株を買う前より買った後のほうが、その株が上がる可能性が高いと信じる
・希少なものはそれだけで価値があるように感じる
・この株は含み損を抱えているから利益が出るまで売りたくない
こういった行動経済学を認識した上で投資をすることは、やはりメリットがあるだろうと思います。

そして第5章は、「次世代の投資家」というタイトル。
投資で成功するためには人の「半歩だけ」先を行くことがポイント(一歩先だと行き過ぎ)で、変化する「人々の欲求」を見極め、その時代の新たな価値を見つけ出す必要があります。
今の時代の人々が「欲しい」と思う商品やサービスを提供している会社を見つけることが、株式投資というゲームのルールとの解説でした。

また、投資をパズルに例えていて、パズルのフレームを「世の中を取り巻く環境」、パズルのピースを「会社を取り巻く環境」になぞらえて説明しています。
情報は無数に溢れているような時代なので、フレーム、ピースにあたる情報を収集し、そこから、穴あきの状態ながらも1枚の絵に近づけていく・・・とのこと。
その完成形が納得できるものであれば、その会社への投資に踏み切って良いのだろうと思います。

その他、仕手株の舞台裏なんかも紹介されていて興味深かったですし、時価総額の比較(エアビーアンドビーの時価総額はヒルトングループよりも大きいとか、ウーバーの時価総額がBMWやホンダを超えているとか)に関する内容も面白かったです。

締め括りとして、「自分の欲がある程度満たされた後は、他人を幸せにしたいと思うようになる」とありました。

 自由を得た人が、次は周りの人を幸せにする。

良い言葉だと思いました。

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