臆病者のための株入門

臆病者のための株入門 (文春新書)

『マネーロンダリング』、『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』といった名著を出している橘玲氏の本である。
相変わらず、切れ味の良い、軽快なテンポで書かれた本であり、スラスラと読めてしまう。

のっけから著者は、株式投資のギャンブル性をあっさりと認める。「ギャンブルはうさんくさくない」⇒「株式投資はギャンブルである」⇒「だから、株式投資はうさんくさくない」という論法なのだ。

その上で、「デイトレード」「スイングトレード」「個別株長期投資(バフェット流投資法)「経済学的にもっとも正しい投資法(インデックスファンドへの投資)」をはじめ、宝くじ、競馬、生命保険といった、ギャンブル全般のコストとパフォーマンス、そして肝心のリスクにまで言及し、その本質を見事に説明している。

また、株式投資の本質、金融商品の儲けのカラクリ、誰でも知っている大銀行や生命保険、証券会社の宣伝文句に潜む巧妙な罠などにも話を展開し、見事に事実をわかりやすく説明してくれている。

本書の最後の章では、実際に「ど素人のための投資法」を提案しているが、かなり大胆なプランである。とはいえ、ファイナンス理論に裏打ちされた合理的なプランでもある。

それは、
『資産運用は個別株ではなく、市場全体に投資をするインデックスファンドを購入すべき』
というプランである。

なぜなら、資本主義は自己増殖する性質を持っているため、この世界が資本主義である以上、必ず(長期的には)価格は上がるからだ。
そのためには、個別の市場ではなく世界の株式市場に投資すべきとのこと。

その比率にも言及していて、世界の株式市場の時価総額の比率から、
 日本株式市場:15%
 米国株式市場:50%
 欧州株式市場:30%
 その他株式市場:5%
に分散投資することが適切であるということだ。

面白いのは、あとがきにあった著者の一言である。
『最後にお断りしておくと、私自身はここで述べたような合理的な投資法を実践しているわけではない。ひとには、正しくないことをする自由もあるからだ。』

臆病者のための株入門” に対して1件のコメントがあります。

  1. きょうきゃぴが興味とか宣伝したの?

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